Last Letter~手紙がくれた想い~
突然の手紙
『木村、ここ教えて!』
数学の授業が急遽、自習になった。
「お前、こんな問題も解けねぇの?」
隣の席の村瀬は俺を睨む。
だってこれ、基本中の基本だぜ??
『あんたみたいに頭、よくないんですぅ~
頭悪くてすみませんねぇー!!』
村瀬はそう言ってそっぽ向いてしまった。
「いいんだ?教えなくて。
分かんないんじゃなかった??」
村瀬は俺の言葉を聞いてそっとプリントを差し出す。
「で、どこが分かんないんだっけ??」
俺は女という生き物そのものが苦手。
それなのに、村瀬だけは普通に接することができた。
俺自身、どうしてそんなことができたのか分からない。
ただ1つ。
村瀬と他の女には大きく違うところがある。
俺に近寄ってくる女はみんな、色気をつかってくる。
『木村、そこどいて!』
これは村瀬と俺が初めて言葉を交わしたときだ。
俺がロッカーの前に立っていると村瀬はやって来た。
そう。村瀬は他の女とは違ったんだ。
色気なんて言葉、知らないかのようで
女にも男にも言葉遣い、態度は変わらず…
そうか、これだ。
村瀬は誰にでも同じ態度だから、俺も普通に接しれるんだ。
あぁ…謎が解けたぞ。