Last Letter~手紙がくれた想い~
Side 悠香
【Side 悠香】
【コンコン】
ドアがノックされる。
『はーい』
と、返事をすると顔を覗かせたのは
『長瀬さーん!!』
看護士の長瀬さん。
あたしの担当で、ものすごく優しいんだ。
『悠香ちゃん。
これ、悠香ちゃん宛だよ。』
あたし、村瀬 悠香
末期の胃ガンでずっと入院している。
でも、この病室に移動したのは本の数週間前のこと。
『なんですか?これ…』
真っ白の封筒を長瀬さんから受け取る。
『なんかね、さっきナースステーションにすっごく格好いい男の子が来たの。
その子がこれを悠香に…305号室の人に。って。
名前聞く前に帰って行っちゃって。
誰か分かる??』
きっと、あの人だ。
双眼鏡の、あの人。
もう、返事は来ないものだと思ってた。
だってあたしが手紙を書いて1週間以上経ってたんだもん。
まさか、来るなんて思わないでしょ?