Last Letter~手紙がくれた想い~
「今日はサッカーをやる。
体操して、準備したらすぐに始めるように。
以上」
体育の教師はどこかへ行く。
俺と弘斗もどこかへ行く。
どこかと言っても、校舎裏のでっかい木の下なんだけど。
「サッカーとかやってらんねぇよな。」
弘斗が欠伸をしながら呟く。
俺と弘斗は体育の時間、いつもこうしてサボる。
体を動かすより、音楽のほうが好きだから。
かと言って、運動神経が悪いワケでもない。
「お前ってさぁ~好きなヤツとかいんの??」
木にもたれかかった弘斗が言う。
「俺?いるワケねぇじゃん。」
そう。まだこのときの俺は気づいていなかった。
自分の中にある、小さな小さな恋という芽があることに。
「俺、いるんだ。」
弘斗が遠くを見つめている。
そんな弘斗に
「村瀬だろ?」
と、俺は言った。