Last Letter~手紙がくれた想い~
「あのときは、すみませんでした。
すごく焦ってて……」
俺は頭を下げる。
『いいのよ、全然。
キミ、大樹くんだっけ??』
どうして俺の名前を知っているのか疑問だったが、俺は頷いた。
『私、長瀬って言うの。
悠香ちゃん担当の看護士。
これから…よろしくね?』
長瀬さんは悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
きっと長瀬さんは知ってるんだ。
俺と悠香の関係を。
「また…手紙届けてもらっていいですか?」
いつの間にか俺と長瀬さんは廊下の隅のベンチに座っていた。
『自分で届けないの??』
「まだ、悠香には逢いたくないんです。
俺自身、いろいろあるんで…」
まだ、悠香と直接は逢えない。
春樹のことだってあるし、
俺が落ち着くまでは悠香に逢うつもりはない。
『そうなんだ。
じゃ、私は仕事戻るわね。』
長瀬さんは最後に笑顔を浮かべて階段を昇っていった。