Last Letter~手紙がくれた想い~
『ありがと!
じゃ、あたしはこれで失礼するね!!』
2曲目を歌い終わったあと、村瀬は足早に去って行った。
「村瀬の妹…どういう病気なんだ?」
チューニングをしていると俊が聞いてきた。
「俺よりも弘斗に聞いたほうがいい」
俺はきっと、弘斗より村瀬の妹の病気について詳しい。
あんな話…聞いちゃったんだから。
「ユウちゃん、って言うんだけどな?
ユウちゃんは胃ガンなんだ、末期の。
治る可能性はゼロに等しいらしい」
多分、弘斗はここまでしか知らない。
俺は知ってる。
この続きを。
”余命は2年”
だから俺は村瀬に録音する許可を出した。
村瀬の妹がどんなヤツかは知らない。
でも、俺らの曲を聴きたがってるなら、
あと2年しか生きられないなら…
そう思ったら録音するな、とは言えなかった。
「アイツ…大変だったんだな」
雅輝がボソッと呟く。
「村瀬の妹のためにも、もう一頑張りするか」
それから俺らは夜遅くまで練習していた。