Last Letter~手紙がくれた想い~






『ありがと!

じゃ、あたしはこれで失礼するね!!』


2曲目を歌い終わったあと、村瀬は足早に去って行った。



「村瀬の妹…どういう病気なんだ?」


チューニングをしていると俊が聞いてきた。



「俺よりも弘斗に聞いたほうがいい」

俺はきっと、弘斗より村瀬の妹の病気について詳しい。


あんな話…聞いちゃったんだから。



「ユウちゃん、って言うんだけどな?

ユウちゃんは胃ガンなんだ、末期の。


治る可能性はゼロに等しいらしい」


多分、弘斗はここまでしか知らない。


俺は知ってる。
この続きを。



”余命は2年”


だから俺は村瀬に録音する許可を出した。



村瀬の妹がどんなヤツかは知らない。


でも、俺らの曲を聴きたがってるなら、


あと2年しか生きられないなら…



そう思ったら録音するな、とは言えなかった。



「アイツ…大変だったんだな」


雅輝がボソッと呟く。



「村瀬の妹のためにも、もう一頑張りするか」


それから俺らは夜遅くまで練習していた。





< 93 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop