死神喫茶店
すると、すでに成仏してしまったと思っていた『お客様』が不意に目を開けた。


「あたしの体……使えなくてごめんね」


腐敗した喉でなんとか声を絞り出す『お客様』。


「と、とんでもないです!」


あたしは慌てて左右に首を振った。


しまった、今の言葉は完全に失言だった。


この『お客様』は解体後体の一部を再利用していることを知っていたようだけど、知らない『お客様』だっている。


その場合、自分の体を勝手に利用されることを怒る人だってきっといる。


『お客様』の前で、不用意な発言はしちゃいけないんだ。


あたしはグッと唇を噛んで、作業を再開したのだった。
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