死神喫茶店
褒め言葉
どうにか1人目の解体を終えたあたしは『お客様』の小指の骨をストラップにしていた。


あたしの初めての『お客様』。


そう思うとなんだか心がウキウキしているのがわかった。


少し大人になれたような、河田さんに近づいたような、そんな気分。


「モコちゃん、終わったみたいだね」


河田さんにそう言われ、あたしは驚いてその場で飛び跳ねてしまった。


いつの間にか河田さんは解体部屋へ移動してきていたようだ。


集中していたため、その気配に全然気が付かなかった。


「河田さん、いたんですか……」


「あぁ。ストラップを作っているあたりからね」


少し前からずっとこの部屋にいたようだ。


「初めての解体にしては上出来だね」


ゴミ箱の中を確認して河田さんはそう言った。


「ありがとうございます」


あたしは頭を下げてそう言った。


でも、今回は失敗だ。


これから成仏する『お客様』に変な気をつかわせてしまった。
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