死神喫茶店
「次の『お客様』も、頑張ってみるか?」


河田さんの言葉にあたしは返事につまってしまった。


正直、さっきの『お客様』はスコップ1つで大半を解体する事ができたから、あたしでもできたようなものだ。


次の『お客様』の腐敗が進んでいなかったとしたら、1人で頑張れる自信はない。


考えて無言になっていると、河田さんがあたしの手から手袋を外した。


「今日はこれくらいにしとくか。後は楓ちゃんの指導を頼む」


「あ……はい、わかりました」


もしかして河田さん、さっきの『お客様』ならあたしでも解体できると思ってわざとあたしにやらせたのだろうか?


だとしたら、その真意は……?


聞きたかったけれど、河田さんはすぐに次の『お客様』を解体部屋へと通してしまい、聞く事はできなかったのだった。
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