死神喫茶店
それを、昨日会ったばかりの楓が簡単に線を越えるとは思わなかった。


「もしかして楓、河田さんから解体の仕事については聞いてないの?」


「ううん、聞いたよ?」


楓は首を傾げてそう言った。


「その……ゾンビを解体しているって話だよ?」


「だから聞いたってば」


楓はキョトンとした表情になる。


明らかに異質な職業なのに、全くに気にしている様子はない。


「怖いとか、思わなかった?」


「そりゃぁ怖いなって思うよ? でも、河田さんが怖いわけじゃなくて、その仕事が怖いだけだもん」


あたしは楓の考え方に関心してしまった。


職業と人間を結び付けないのだ。


あたしはついつい、その人自身も怖いのだと思い込んでしまうんだけれど、最初から割り切っているようだ。
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