死神喫茶店
☆☆☆

学校から家に帰る途中、あたしはコンビニに立ち寄り、店の隅っこに設置されているATMで残高照会をした。


銀行の中にはお年玉とバイト代の貯金、合わせて50万円ほどが入っていた。


今バイトを辞めてもすぐには困る事のない金額だ。


『ロマン』には楓がいる。


楓は物覚えが良く、もう教える事はなにもない。


なにより、楓と河田さんの邪魔にはなりたくなかった。


あたしは通帳を財布に戻し、そしてカバンをギュッと握りしめた。


今あたしが『ロマン』をやめても、きっと困らない……。


コンビニを出たあたしは駐車場の邪魔にならない場所でスマホを取り出した。


次の出会いを探すよりも、一旦1人になりたい。


そんな思いで、河田さんに電話をかけたのだった。
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