死神喫茶店
「おはようモコ。教科書広げてるなんてどうしたの?」


舞美が驚いたようにそう聞いて来たので、あたしは教科書を閉じた。


「ちょっと付いていけてない所があったから、読み直してた」


「すごいじゃん。モコでも勉強するんだ」


冗談めかしてそう言うので、あたし冗談でふくれっ面をして見せた。


「おはようモコ、舞美!」


元気いっぱいに登校して来る楓。


その元気とは裏腹にまだ眠そうな顔をしている。


「まだDVD見てたの?」


舞美が楓に聞く。


「うん。もうカッコよくて!」


舞美の頬が一瞬にしてゆるんだ。


そう言えば最近アイドルグループにはまってるって言ってたっけ。


楓はアイドルのコンサートDVDを毎日のように夜遅くまで見ているらしかった。


そんな話を聞きながら、あたしの視線は教室の前の戸へと向いていた。


音を立てて開かれた戸から、笑顔の瑠衣と夢羽が教室へ入って来る。


2人が入ってきた瞬間、一部の男子生徒たちから冷やかしの声が飛んだ。
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