死神喫茶店
「え? どういう事?」


あたしは舞美に聞き返す。


付き合うわけがないと言い切れる理由がわからない。


「だって、夢羽は本土に許嫁がいるでしょ」


舞美が目をパチクリさせてそう言った。


「許嫁!?」


あたしは思わず声が大きくなり、慌てて両手で自分の口を塞いだ。


「2人とも知らなかったの? 佐古家の人たちはみんな生まれた時から本土に許嫁がいるんだよ」


舞美は呆れたような口調でそう言う。


知らなかった……。


今、あたしの心の中は驚きと衝撃で一杯だ。


「だからさ、たとえ夢羽に好きな人ができてもその恋は絶対に叶わないんだよ。


それはそれで可愛そうだと思うけど、でも夢羽の許嫁って人はすごくカッコよくて優しい人なんだって。だからきっと夢羽も相手の事を好きになるだろうって」


舞美はスラスラとそんな事を言う。


どうしてそこまで知っているのか不思議に思っていると、それに気が付いた舞美が説明を始めた。
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