死神喫茶店
☆☆☆
あたしのバイト先。
それは『ロマン』という名前の小さな喫茶店だった。
6畳ほどのスペースに軽食を調理するスペースと、カウンター席が3つほどあるだけのレトロな喫茶店。
街中にはファミレスなどができて喫茶店の居場所はなくなってきたけれど、街はずれにある『ロマン』は今年で50周年になる。
今の店長の親の時代から経営しているらしく、何人か固定客もいる。
『ロマン』はそんな人たちに支えられているようなものだった。
自転車をこいで20分ほど経過した時、『ロマン』は見えて来た。
あまり人通りの多くない、狭い路地の片隅にひっそりと建っている、こげ茶色の建物がそうだ。
建物の横には気持ち程度の駐車場が設けられていて、あたしはその隅っこに自転車を停車させた。
それと同時に店の明かりがパッとつく。
スマホで時間を確認すると16時半だった。
『ロマン』が開店するまであと30分ほどだ。
あたしは建物の裏手に回り、従業員出入り口のドアを開けた。
錆びれたドアはギィィと耳障りな音を立てているけれど、それももうずいぶんと馴れて来た。
中へ入るとコーヒーの匂いが鼻を刺激する。
狭い厨房の中に店長である河田一二夫(ワカタ ヒフオ)の顔を見つけて、あたしは「おはようございます」と会釈した。
「おはよう。今日は少し早いね」
厨房内の壁掛け時計を見て河田さんはそう言った。
「ちょっと予定が狂ったんです」
あたしのバイト先。
それは『ロマン』という名前の小さな喫茶店だった。
6畳ほどのスペースに軽食を調理するスペースと、カウンター席が3つほどあるだけのレトロな喫茶店。
街中にはファミレスなどができて喫茶店の居場所はなくなってきたけれど、街はずれにある『ロマン』は今年で50周年になる。
今の店長の親の時代から経営しているらしく、何人か固定客もいる。
『ロマン』はそんな人たちに支えられているようなものだった。
自転車をこいで20分ほど経過した時、『ロマン』は見えて来た。
あまり人通りの多くない、狭い路地の片隅にひっそりと建っている、こげ茶色の建物がそうだ。
建物の横には気持ち程度の駐車場が設けられていて、あたしはその隅っこに自転車を停車させた。
それと同時に店の明かりがパッとつく。
スマホで時間を確認すると16時半だった。
『ロマン』が開店するまであと30分ほどだ。
あたしは建物の裏手に回り、従業員出入り口のドアを開けた。
錆びれたドアはギィィと耳障りな音を立てているけれど、それももうずいぶんと馴れて来た。
中へ入るとコーヒーの匂いが鼻を刺激する。
狭い厨房の中に店長である河田一二夫(ワカタ ヒフオ)の顔を見つけて、あたしは「おはようございます」と会釈した。
「おはよう。今日は少し早いね」
厨房内の壁掛け時計を見て河田さんはそう言った。
「ちょっと予定が狂ったんです」