死神喫茶店
☆☆☆

『ロマン』のお客さんはとても少なく、店内BGMの音楽をぼんやりと聞いていた。


手元にはメニュー表があり、さっきから品名と値段のチェックをしている。


『ロマン』で使うものも当然船で運ばれてくるのだけれど、その費用や物価の値上がりなどでメニューの金額が最近変更になったばかりなのだ。


「特に異常なし、か」


一通りのチェックを終えてあたしはメニューを客席へと戻した。


クリスマスやお正月といった季節には店内の飾り付けをしたりして、時間を潰す事ができるのだけれど、何もない時期は本当にやることがなにもないのだ。


かといってボーッと座っているだけでお金をもらうなんてできないから、念入りな掃除やストックのチェックを行っている。


今日はそれもすべて終えてしまい、本当に暇だ。


もう1度店内の掃除でもしようか。


そう思ったとき、解体部屋の様子を思い出していた。


今日は『お客様』の人数が多いようで、数時間前から河田さんは出てこない。


それなら、解体部屋の掃除を手伝えばいいかもしれない。


監視カメラが設置されているから『ロマン』の様子を見ながら解体部屋にいることができる。
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