死神喫茶店
そう考えたあたしはさっそく隠し扉から解体部屋へと移動した。


丁度『お客様』を解体し終えた所なのか、河田さんはベッドの周りを掃除していた。


「河田さん、ここの掃除も手伝いますから」


そう言いながら河田さんから少し強引にホウキを受け取った。


何をしていいかわからないバイト時間は、あたしにとって苦痛でしかない。


「ん、あぁ。悪いね」


「いいんです。今日は『ロマン』のお客様が少ないので」


笑顔でそう返事をしながら、臓器をちりとりの中へと押し込めていく。


この生臭い臭いも、もう慣れてしまった。


大きなゴミ箱の中に内臓をうつし、そしてまたホウキで内臓をかき集めていく。


「馴れたものだね」


河田さんがあたしの作業を見つめてそう言った。


「河田さんのせいですよ?」


冗談めかしてそう言った時、部屋のドアが開いた。


2人で同時に振り返ると、そこには紫色の皮膚をした若い男の子が立っていた。


すごく悲しそうな顔をしていて、今にも泣いてしまうんじゃないかと心配になる。
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