死神喫茶店
あたしはそう言い、厨房の中へと足を踏み入れた。


河田さんは25歳になる若い店長なのだが、その見た目は更に若く、高校生を間違われる事もあるそうだ。


「開店準備しますね」


「あぁ。たのむよ」


荷物を厨房の邪魔にならない場所に置き、白いエプロンだけつけてあたしはカウンター席へと回った。


カウンターテーブルの横にある小さなドアを開けてるとそこには掃除道具一式が押し込められている。


大きなほうきは立てて置くことができないので、通常の半分ほそのサイズのほうきしか用意されていない。


あたしはそのほうきと塵取りを手に持ち、店内の掃き掃除を始めた。


掃き掃除と言ってもほんの数分で終わってしまう程度の広さだ。


床のモップ掛けも手早く終えて、カウンターに上げられている椅子を下ろしていく。


今日はどのくらいのお客さんが来るだろうか。


日曜日で明日は出勤の人が多いだろうし、この時間から喫茶店が繁盛することはないだろう。
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