死神喫茶店
☆☆☆

みんなで幸せになるのは無理。


それぞれ生きて来た過程が違い、それぞれ頭の中で考えていることも違う。


だからこそ分かり合える部分があり、だからこそ争い合う事がある。


誰かが優勝を勝ち取れば、誰かが必ず泣いている。


あたしたちが生きている世界では、それが当たり前なんだ。


「おはようモコ」


教室で後ろから声をかけて振り返ると、夢羽と瑠衣が立っていた。


2人の手はしっかりと繋がれていて、その絆の強さを感じた。


あたしはそれを見た瞬間、自分の負けを感じていた。


痛む心とは裏腹に、やっと諦める事ができると思うと、とても穏やかな気分だった。


夢羽に対しての闘争心が、嘘のように消えていくのがわかる。


「おはよう」


あたしは2人に対して、久しぶりに本当の笑顔を見せる事ができたのだった。
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