死神喫茶店
「冬……?」


思わずそう名前を呼び、ベッドに駆け寄った。


少年はビックリしたように目を見開いてあたしを見た。


違う……冬じゃない。


そう分かると同時に胸を撫でおろすが、少年は冬にそっくりな顔をしていた。


「モコちゃん、知り合い?」


「いえ……違ったみたいです。でも……」


すごく、似ている。


そう思った時、少年が上半身を起こしてほほ笑んだ。


その顔は冬にそっくりではあるが、すでに腐敗が始まっていて紫色の皮膚をしている。


「冬は、俺の兄貴です。俺は春。冬の双子の弟です」


「えっ……」


少年の……春の言葉にあたしは目を見開いた。


冬に兄妹がいたなんて聞いたことがない。


「俺は高校入学の前に死んでしまったので、きっと知らないと思います」


そんなあたしを見て春は言った。
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