【短編】likeがloveになった夏
なんでだろうなぁ。
高校生のときは
女っつったら、遊び相手で
口喧嘩するようなんじゃなかったのに…。
成瀬に俺の世界観を変えられたって感じで
ちょっと悔しい半面
嬉しかったりもする。
「ゆっちゃん!優花!!」
ゆっちゃんってのは俺のあだ名。
宮野は俺のことをゆっちゃんと呼ぶ。
幹にぃがそう呼ぶから。
「何、どしたの春綺」
「春っちゃんテンション高いね」
成瀬にタックルする宮野。
「あのさ、今度旅行行かない?
みっくんが行こうって言ってくれてるの」
目を輝かせながら言う宮野。
みっくんは幹にぃ。
仲のいい二人を見るのはさすがに辛い。
「婚前旅行なら二人で行きゃ…っぐ!?」
そう断ろうとした俺の口に
成瀬がお絞りを詰めた。
「行く!行きたい!!ねっ、行くよね、雨宮!」
「んぇー、おぇおぃああえ。
(てめぇこれ取りやがれ)」
「行くって!」
「んっうぇえーお。
(言ってねぇよ)」
俺の抗議も虚しく、旅行に行くことは決定してしまった。