【短編】likeがloveになった夏
旅行当日
宮野は幹にぃにべったりだ。
「来なけりゃよかったかも…」
ほんとに聞こえないくらいの小声で呟いた言葉で呟いたのに
成瀬には聞こえていたらしい。
「忘れるんじゃなかったの!?」
「……」
「ゆっちゃーん、優花ー!!
来て!海スゴイ綺麗だよっ!!
早く着替えて泳ごっ」
宮野が少し離れたところで、飛び跳ねながら手を振っていた。
「春綺、お前水着ビキニとかないよな」
「え、ダメ?」
「絶対ダメ!!」
「えー」
くだらないことで言い合う二人は
何だかんだで、凄く幸せそうだった。
「ゆっちゃん、どしたの?」
宮野が、ぼぉっとしている俺の頬を突いた。
「…春っちゃんって幼ぇなって思って」
「うわー何それヒドイねー。
言っとくけど、もうハタチだかんね。
もうすぐ奥さんになるし」
……結婚か…。
まじで、宮野は幹にぃのもんになっちゃうんだ。
俺は、一人浜辺で黄昏ていた。
まだ10時なのに…。