【短編】likeがloveになった夏
「雨宮ぁ、見て!新しい水着!」
砂浜に座っていると、水着姿の成瀬が飛び付いてきた。
「あー…うん似合うんじゃね?」
「見てないっしょ」
「見た見た。ちゃんと見た」
「うそ。見てない」
「見たよ。可愛い水着じゃん」
成瀬は気怠い声で言った俺の首を思い切り捻った。
「いってぇ!?」
「水着じゃなくて…わたしを見てよ」
今までに見たことのない
女の子の顔をした成瀬。
「…わたし、雨宮が好きなんだよ……」
「え……?」
ちょ……
待って。
そりゃ……薄々感付いては……
いたけどさ。
改めて言われると
「…お…俺……、そんなふうに…お前のこと意識したことないから!!」
俺は、そう叫んで海の家に逃げ込んだ。
その後、何をしたかなんてまったく覚えてない。
ただ覚えているのは
成瀬が一度も俺と目を合わせてくれなかったこと…。