【短編】likeがloveになった夏
旅行から帰ってきても、成瀬からの連絡はなかった。
いつもなら必ず来る成瀬からのメール。
旅行から帰って以来
俺の携帯に成瀬の名前が表示されることはなかった。
「雨宮ちゃん、最近暗くない?」
抗議中もうわの空だった俺に
同級で従姉妹の
中神秋葉(ナカガミアキハ)が声をかけてくれた。
「いや、別に」
「そーいや今日優花ちゃんは?」
「いないよ。たぶん俺嫌われちゃったから」
「何で?」
俺は秋葉に、旅行でのことを話した。
「…ずっと…友達感覚だったから…何かよくわかんなくて」
「……でもさぁ、優花ちゃんからのメール待っちゃうってことは、気になってるってことでしょ?」
秋葉は、俺の顔を人差し指で指しながら言った。
自分でも理解できない感情を秋葉に読まれ、俺は複雑な気持ちだった。
「わかんねぇよ」
「わかんないままでいいの?
入ってるサークルの先輩が優花ちゃん狙いっぽいよ?」
「えっ!?」
「今日辺りコクるって」
秋葉が言い終わる前に
俺は席を立っていた。