太陽と月の後継者
「『今日はありがとうございました。』」
「いいのよ。瑞も喜んでいることだし、また来てね。」
蓮は口元に綺麗な弧を描く。
クロエ達は、来た時と同じ手段で寮に戻った。
「龍鬼族、幻人族、大狼族も協定を組んだし
後は妖精族だけね。」
ビアンカとクロエは、
クロエの自室で話し合う。
『ビアンカって、仕事が早いよね。』
さっきの龍鬼族も、
承諾を得た後すぐにビアンカは
契約書にサインを貰っていた。
「お父様も仕事の合間を縫って、
お兄様の事を調べてくれているの。
妹の私が遅れを取る訳には
いかないわ。
それに、悪魔族は“悪魔”ってつくけど実際は心優しい人たちなの。」
『部族のことを大切に思っているんだね。』
ビアンカは照れ臭そうに笑った。
部屋へ戻るのか玄関に向かっている。
「クレア、明日の放課後もいいかしら?」
『もちろん!』
クロエは満面の笑みで頼もしいビアンカを見送った。