太陽と月の後継者

数日後、

教会に一つの貼り紙がされていた。

“エミリアには近付くな。”

それだけが書かれていた。

好奇心旺盛の民は、ひとりの神官を酒屋におびき寄せ酔いつぶらせた。

“あの少女とエミリアは何か関係があるのか?”

“あぁ、あの美人の娘かぁ?
そらぁなぁ、母親を殺してぇ
娘はエミリアの箱の中で眠ってるのさぁ”

興味本位で集まった人々は絶句した。

街でたいそう可愛がられていた少女が神官によって閉じ込められている。

自分達には訴える力がないが、この現実を忘れてはいけないと言い伝えた。









“知っているか?”

“あぁ、あれだろ?ひでぇはなしだぜ”

“愛嬌のある、白金色の髪の
綺麗な若い娘なんだって。”

“そりゃ、可哀想な姫さんだ。”

“何しろ、もう1000年も
眠っているんだってよ。”

その街の人々は、今日もその少女の事を忘れないように語り継いでいる。

< 123 / 220 >

この作品をシェア

pagetop