太陽と月の後継者

「汚らわしい…よな。」

中性的で、綺麗な顔を歪めた。

禍々しく自身の手を見つめる。袖をまくると、普段誰にも見せない腕が顕になった。

赤紫色に年々広がっていく痣。
血を見ると騒ぐ心を酷く憎んだ。

この痣は魔獣の血のせいだ、抑制することの出来ないほどの力がシルバーにはある。

それが暴走した時の為に、シルバーはイズミに殺せと頼んだ。

「…作るか」

シルバーは、なるべく栄養のあるものを使って調理を始めた。

ートントントン

ーグツグツ

軽快に包丁が刻む音と、
スープを煮込む音。

ここで一番家庭的だと言われるシルバーは0のメンバーの為に食事を毎朝作っていた。

その腕も確かで、食べ残しはいつもない。

「よし、できた。」

シルバーは、自分の分とクロエの分の食器を持って自室へ向かった。

普段はリビングで食べるのだが、
今日は特別だ。

「クレア、部屋にいるの?」

「あぁ」

途中で会ったアリスは、寂しそうに瞳を揺らした。

「また話す」

それだけ言うと、自分の部屋へ戻った。

< 127 / 220 >

この作品をシェア

pagetop