太陽と月の後継者
「汚らわしい…よな。」
中性的で、綺麗な顔を歪めた。
禍々しく自身の手を見つめる。袖をまくると、普段誰にも見せない腕が顕になった。
赤紫色に年々広がっていく痣。
血を見ると騒ぐ心を酷く憎んだ。
この痣は魔獣の血のせいだ、抑制することの出来ないほどの力がシルバーにはある。
それが暴走した時の為に、シルバーはイズミに殺せと頼んだ。
「…作るか」
シルバーは、なるべく栄養のあるものを使って調理を始めた。
ートントントン
ーグツグツ
軽快に包丁が刻む音と、
スープを煮込む音。
ここで一番家庭的だと言われるシルバーは0のメンバーの為に食事を毎朝作っていた。
その腕も確かで、食べ残しはいつもない。
「よし、できた。」
シルバーは、自分の分とクロエの分の食器を持って自室へ向かった。
普段はリビングで食べるのだが、
今日は特別だ。
「クレア、部屋にいるの?」
「あぁ」
途中で会ったアリスは、寂しそうに瞳を揺らした。
「また話す」
それだけ言うと、自分の部屋へ戻った。