太陽と月の後継者
「キルは貴女の驚異的な速さで治る傷と血の香りでわかったそうよ。
それと本当にごめんなさい。リオは地獄耳だから知られてしまったんだけど、ヨウテスには、朱雀族の時話したの。
でもレイとルカはまだ知らないわ。」
ビアンカは、申し訳なさそうに頭を下げる。
クロエは一瞬腹が立ったが、何も言わなかった。
「で、キルの目的は何。
血が目当てなのはわかっているけど、
なにか理由があるよね?」
全てを見透かされているように見られるキルは、一瞬黙った。
「…お願いがあるんだ。
妹を…
救ってください。」
思ってもいない言葉に、
ビアンカ達も驚いた。
「妹は、
体が弱く血も受け付けてくれない。
このままじゃ、
衰弱してそのうちに…。」
『……だから、私を?』
コクリと頷くキル。
クロエはしばらく間を置くと、
返事をした。
『いいよ
連れて行って。』