太陽と月の後継者
ルカは白銀の髪から藍い瞳を覗かせる。相変わらず片目は見えないが、
瞳は確実にクロエを捉えていた。
「…なぁ」
彼は何時もクロエのことを“クレア”とは呼ばない。
『ん?』
「…否、なんでもない。」
何かを言いたげだったが、気にしない振りをする。
『そっか』
先に進んでいたリオやビアンカが振り返った。
「早くー!先に行っちゃうよ!」
返事をしようと思うクロエだが
人混みにかき消されて、姿を見失う。
『あ、あれ?』
ひとり虚しく声がかき消される。すると、手をぐいっと大きな手に引かれた。
「…なにやってんだ。
行くぞ。」
『ルカ…』
暫くボーッとしていると、
手を繋ぎそのまま連れて歩かれる。
『あ、ありがとう』
「…あぁ」
ぶっきらぼうに返事が返ってくる。
リオやビアンカはにやにやと口元を緩めてこちらを見てきた。
「え、ふたりってそんな仲だったの!?」
「知らなかったー…!」
面倒くさそうにルカはリオ達を見る。
だが、クロエの手は離さなかった。
ードクン
何の気持ちだろう。
そんなのはとっくに気付いてる。
でもそれ以外に、
血を騒がせる“ナニカ”があった。
それに気付くのはまだまだ先の話。
今は今という時間を大切に。
“残された”時間を大切にして欲しい。
_______全てが終わるその時まで。