太陽と月の後継者
クロエがアジトへ戻ってくると、
皆は驚いた。
というより身構えた。
「…クレア、そいつ、誰だ。」
シルバーは、唸るように聞くとアリスも手に鋭く光った糸を取り出す。
『大丈夫、この人は私に抗えない。』
なんとも言えない自信が彼女から溢れていて、周りは何も言えなかった。
そこに、クランが入ってくる。
「あれ?みんなどうしたんだ?
早く座りなよー
あー…君はここね。」
あまりの脳天気さに、
男も目をぱちくりした。
「彼は天羽を喰らった一族の末裔。
名前はゲーテ。その血に抗えずクロエに使えることになったんだ。
もちろん彼の意思もあるから安心しな。」
そう言い終わると、コウはため息をつく。
「また…厄介なものを。」
嫌味ったらしく言った彼に、
部屋が静かになった。
ゲーテは、面倒臭そうにクロエを見る。
クロエの全ての事情は、先程彼女自身から聞かされた。
こんな小さい背中でどんだけものを背負っているのだろうか?
ゲーテはふとそんなことを考える。
彼は0のメンバーによろしくするつもりはないらしく欠伸を漏らしていた。
シルバーは訝しげに彼を見る。
ゲーテはその視線に気づき、目線を送った。