太陽と月の後継者
「ったく、システィスも遅過ぎるだろ…。」
そう言っている彼はどことなく嬉しそうだ。
「すまぬな、心の準備に時間がかかりすぎてしまった。
そのせいで、ヨウテスには重いものを背負わせてしまった…。」
システィスの長い睫毛が伏せられる。
ヨウテスはガツンと彼女の頭を叩いた。
「なにをするっ!?」
「らしくないからやめろよ、そういうの。」
爽やかに笑ったヨウテスを見てシスティスは笑った。
「いくらシスティスでも…絶対許さねえ。」
憎しみの篭った視線がシスティスに突き刺さる。
「…言いたいことがあるのなら、私に勝て。
勝つことが出来たのなら、席を譲る。」
勝てと言われたユンテスは悔しそうに部屋を出て行った。
ユンテスはあぁ見えても姉思いで、逆らえないのを彼女は知っていたからだ。
「ところで、彼女は噂に聞くクレアだな。」
静かになった訓練室にシスティスの声が響く。
ヨウテスの父セスもその言葉に反応した。
『初めまして、システィス様。』
「あぁ
そなたの力は百万力と言う話だ。次の五大魔法使いの候補にも上がっていると聞く。」
そんな話は初めて聞いたクロエは目を瞬かせる。
「どうだ、私を支えてはくれぬか?」
それは、族長のサポートをしてくれという話。
そんな美味しい話は滅多にない。