太陽と月の後継者

「ったく、システィスも遅過ぎるだろ…。」

そう言っている彼はどことなく嬉しそうだ。

「すまぬな、心の準備に時間がかかりすぎてしまった。

そのせいで、ヨウテスには重いものを背負わせてしまった…。」

システィスの長い睫毛が伏せられる。

ヨウテスはガツンと彼女の頭を叩いた。

「なにをするっ!?」

「らしくないからやめろよ、そういうの。」

爽やかに笑ったヨウテスを見てシスティスは笑った。



「いくらシスティスでも…絶対許さねえ。」

憎しみの篭った視線がシスティスに突き刺さる。

「…言いたいことがあるのなら、私に勝て。

勝つことが出来たのなら、席を譲る。」

勝てと言われたユンテスは悔しそうに部屋を出て行った。

ユンテスはあぁ見えても姉思いで、逆らえないのを彼女は知っていたからだ。



「ところで、彼女は噂に聞くクレアだな。」

静かになった訓練室にシスティスの声が響く。

ヨウテスの父セスもその言葉に反応した。

『初めまして、システィス様。』

「あぁ

そなたの力は百万力と言う話だ。次の五大魔法使いの候補にも上がっていると聞く。」

そんな話は初めて聞いたクロエは目を瞬かせる。

「どうだ、私を支えてはくれぬか?」

それは、族長のサポートをしてくれという話。

そんな美味しい話は滅多にない。

< 157 / 220 >

この作品をシェア

pagetop