太陽と月の後継者
だが、クロエは首を振った。
『すみません、私にはやるべき事があります。』
システィスはチラリとレイを見る。
「そうか…だが、いつでも歓迎するぞ。
そして支えよう。」
そう言ってシスティスは部屋を去った。
「え、クレア本当にいいの!?」
「システィス様の付き人なんて願っても叶わないのよ!?」
「クレアってバカなのか!?」
上から順にリオ、ビアンカ、レイ。
揃いも揃って口々に同じことを言った。
『はぁ…確かにシスティス様は素晴らしい人かもしれない。だけど、私は私。皆はやりたいことを放っておけるの?』
クロエはそれだけいうと、
訓練室を出て行った。
その後を、ルカやゲーテも付いていく。
「ハツハッハッ、肝の座った女だな。
将来きっと大物になる。」
セスは大きな笑い声をあげると妻を連れてまた部屋を出ていった。
残されたビアンカ、リオ、ヨウテス、レイは目が覚めたように互いに見合う。
「…軽率だったわ。」
「クレアってあんなに大きかったっけ?」
「…俺達、六大貴族が揃いも揃って馬鹿みたいな事を考えてたんだな。」
「だな。」
クラビアン家には穏やかな雰囲気が再び戻ってきた。