太陽と月の後継者
『ルカはレイといつから一緒なの?』
あのまま、クラビアン家を去ったクロエ、ルカ、ゲーテは近くのカフェでゆっくり休憩を取っていた。
「…中等部の時から」
『そっか、だからあんなに仲がいいんだね!』
ルカは、アイスティーを飲んでいる。
ゲーテはルカの隣でパンケーキを食べていた。
今は新学期が明けてまもない秋初め
まだまだ暑い外を見ると、太陽が恨めしいくらいに輝いている。
「別に」
間を開けて否定するように言ったルカに首を傾げる。
「あいつらは俺の事を知らないし、俺も知ろうとは思わない。
ただ、近くにいるってだけだ。」
あいつらとはきっとリオやヨウテスの事だ。
それなりに大切に思っているのだと思い頬を緩ませる。
感情を表に出さないルカの内側を知るものはいなかった。
リオやヨウテスも本当のところを知らない。
『近くにいるって事はそれなりに大事に思ってるんじゃないの?』
ルカは動きを止めると、一瞬驚いた顔をした後、綺麗に笑った。
「あぁ、お前が言うならそうかもな。」
久しぶりに見た笑顔にクロエも嬉しくなって笑う。
その場にいない空気のようになっていたゲーテは、(おい、こいつらも出来てんのかよ。)
と考えていた。
そんな考えを知るよしもないクロエは呑気に口を開く。
『ふたりって甘党なんだね。』
さっきまでアイスティーを飲んでいたルカの前にはいつの間にかシフォンケーキが置いてあり、
ゲーテはと言うと、とっくにパンケーキを平らげ特大パフェを食べていた。
驚いたように言うクロエに、ゲーテも口を開く。
「お前だって甘いもん好きそうなのに、苦そうなの飲んでるし…。お互い様だろ。」
その通り、クロエかなり渋いのが好きな方だ。
やはり、ひとは見かけによらない。
ルカはふたりの会話を見てそう思う。
彼もたいしてそんな事は言えないはずだが…。
珍しい3人の組み合わせは、意外と合っていて何処か昔からいるような感じがする。
『あぁ、お腹いっぱい。』
「お前…太るぞ。」
もう何時もの会話になっているクロエとルカのちょっとしたやり取り。
ルカやゲーテもなかなか食べる部類だが、クロエはそれを超越するくらいの大食いだ。
それには、ゲーテもあんぐりと口を開いている。
「なんで太らないんだ?」
『クスッ、人一倍うごいてますから。』
はにかむように笑うクロエに不覚にも周りの男達は顔を赤くする。
そんな周りの男達をゲーテは一瞥した。
「……行こう」
珍しく、ルカが先手を切ってカフェを出る。
最近は新しいことばかり。
楽しそうにクロエはふたりを追いかけた。