太陽と月の後継者
3節 異変
「そんな馬鹿な!?属性はひとりにつきひとつと決まっている…。でも何故貴様は三つも、しかも真逆の属性を手にしているのだ!?」
ざわついた教室が一気に静まる。
『えっと…』
クロエも何も知らないため、どういう事なのか全くわからない。
ただ自分がとんでもないことをしてしまったのかもしれないと嫌な汗が吹き出てくる感じがした。
「ヒルダ先生」
突如後ろから聞こえた声。クロエも驚いて振り返る。
「最後ですし、俺もやった事がないんでやりたいのですが。」
「あ、あぁ…」
澄んだ声の主はルカ・オスロだった。まるで彼女を庇うかのような仕草である。
クロエは堂々と登壇しフェリーチェに手を伸ばす彼を見つめていると、白、紫、そしてピンクの光がこれまた美しく放たれる。
『ピン…ク?』
三色に光り、そしてそのうちの一色が初めてみる色だ。
ヒルダは頭を抱えて何かをぶつぶつと呟く。
「まさか、こんな二人を生徒に持つなんてな…」
クロエは心配そうにヒルダを見る。何を言われるのか、それだけが気掛かりだった。
しかし、そんな心配をよそにヒルダは衝撃の言葉を述べる。
「フフフ…アハハハハ!!!」
生徒達がヒルダを見る。一体何がおかしいのか?
「面白い、こんな事は初めてだ!!ここにいる奴ら全員私が削りに削り、最高の宝石…いや、最高の魔法使いに育ててやる。」
予想しなかった反応にクロエは未だ驚きを隠せていない。
ルカが彼女の肩にそっと手を置いて席に戻ったため、クロエも慌てて後に続いた。
(庇ってくれた…?)
彼女はぶっきらぼうな彼から目を離せずにいた。