太陽と月の後継者
廊下には負傷をした生徒が沢山。
「こいつらをまとめて外に送り出せるか?」
『はい』
それからはあっという間で、ヒルダと協力しすぐに全員の避難は完了した。
『先生、これは…』
「思いたくはないが、こんな事を出来るのはここの生徒か五大魔法使い以上の使い手しかいない。」
この学校にはふたりの五大魔法使いがついている。こんな不祥事は起こり得ない筈なのだ。
割れたガラスから外を見ると、
時計台が崩壊していた。
大きな時計台は街からでも容易に見える。その巨大時計が崩れ去るなんて想像もつかなかった。きっと町の人達は驚いているに違いない。
「行くぞ」
その言葉を合図に、ふたりで時計台へループする。
「ヒルダ先生っ、こんなものが…」
Aクラスの担任がヒルダに話しかける。
早くもそこには多くの教員や上級魔法使いの警備隊、破頭隊、特攻隊の者が集まっていた。
ヒルダは特攻隊の者に怪しいものがいないか探すように指示した。
そして、Aクラスの担任に渡された一つの手紙みたいな物を訝しげに見つめる。
「なんだ…」
クロエも気になって手元を覗いた。
真っ黒な封筒の中にひとつのメッセージカード、それを見るとふたりは大きく目を見開いた。
“クレア・フルームは天羽”
頭を鈍器で殴られたような感覚がクロエを襲う。
「クレア…これは……」
『先生…わ、私』
ヒルダとクロエの切羽詰まった声に、
周りの者は反応した。
一刻も早く燃やしてしまいたいところだが、これは大事な犯人の証拠品。燃やしてしまえば立場がどうなるのか…。しかし、そのまま残してしまえば自分の命が危ない。
「これは、本当なのか…?」
『そ…れは』
目の前にイズミが現れた。いつもの老人のような姿である。
「なにをしている。」
クロエは、メッセージカードを渡した。
次の瞬間にはループをして0のアジトへ向かう。
ーバンッ
大きな音をたてて、クロエは会議室へ入った。
アリスは慌ててクロエの手を掴む。
「ねぇ、どうしてクレアが天羽だって…」
「っ、大丈夫か?」
部屋の中にはクラン以外の全員が集まっている。
取り敢えず、アジトは今の世界のどこよりも安全だと感じて一目散に学校を後にした。
ーガチャ
部屋の扉がもう一度開くと、
今度はクランが入ってくる。
「クレア、君を安全なところに避難させる。
…と言っても此処の牢なんだけど、
普通にしているよりはマシだ。」
「クレアを牢獄に!?
それはあまりに可哀想よ。」
この中で一番常識のあるアキがクランを止めた。
シルバーも不満そうに見ている。
「俺の結界を破るのは絶対に無理だと思う。
だがもし、ここに他の奴らが来たら…。
真っ先に向かうのはクレアの部屋だ。
予想のつくような場所にいれば、
逃げる暇もなくなってしまうんだ。」
何から逃げるのか。それは、クロエの血を求めて来た奴らや神官。
もしくは…
『朱雀族』
その言葉に全員が反応を見せる。クロエはライトから話されたことを全て話した。