太陽と月の後継者




『ゲーテ…そこにいるの?』

返事は返ってこない。

薄暗い中に炎の光だけが見える。辛うじて魔法は使えるようにしてあるため、クロエは安堵した。

先程の出来事を思い出して身震いをする。

“もし、私の存在が全てに広まったら…。”

覚悟はしていたことなのに、
何故か震えが止まらない。

1000年前の母が殺された時を思い出す。

“秩序を乱すものは許さない。”

(あの神官の目は本気だった。
そして、彼はきっとレイの…朱雀族の祖先だ。)

彼等が自分を封印してまで守ろうとしたその秩序がクロエの復活により壊れ始めている。

神官は朱雀族に加担していて、国王の次の権力を持つ彼らは自分をどうするのか、クロエはそれが気が気ではなかった。

< 163 / 220 >

この作品をシェア

pagetop