太陽と月の後継者

ゲーテは目を大きく開いてコウに殴り掛かろうとする。だが、出来なかった。

コウは、今までにないくらい穏やかな表情でクロエを見ていたからだ。

そして、会議室のドアを開けると間の悪いことに全員が揃っていた。

「クレアっ!?」

「コウ…お前…」

クロエの傷だらけの姿とコウのすっきりとした表情。なにがあったか知る事はない。

だが、一つだけわかる。

「良かったな、コウ……でもお前が彼女にしたことを許すことは出来ない。」

シルバーの優しく、そして厳しい声色はコウの涙を生み出した。

そんな様子を、ゲーテは複雑な表情をしてみている。

(こいつらは…何者なんだ?)

これが普通の反応なのだ。

いや、まだマシかもしれない。

気持ち悪い

狂っている

そういった言葉を常にかけられていた彼らは、慣れてしまっていたのだ。


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