太陽と月の後継者



「クロエ行くな!!」

「いやぁあああぁあっっ!!」

「行っても誰も助からない!!!」

(この声は聞き覚えがある。

大好きなあの人たち。)

焼けて荒れ果てた町を一人の女と赤い髪の男が見据える。

『最後だけは、守らせてよ。』

片目から涙を流す彼女は言葉とは裏腹に助けてと言っているようだった。





場面が切り替わると女は世界一と言われる巨塔の天辺に吊されていた。

女の瞳に映るのは、逃げ惑う国民や戦っている魔法使い。

全員、彼女の方へ必死に手を伸ばしていた。

『どうして...』

風に浚われた言葉は虚しくも空を掻く。















夢はそこで終わった。

< 170 / 220 >

この作品をシェア

pagetop