太陽と月の後継者
何度目かのこのような悪夢。これはここ数日間ずっと続いていた。
『何度見ても、あれは私だ。』
ふと気付いて部屋を見渡すと、牢獄でも自分の部屋でもなかった。
隣では、ゲーテが隈を作って寝ている。最近睡眠をとれていない彼を申し訳なさそうに撫でた。
真っ白な空間、ここはきっと療務室だとクロエは記憶を辿る。
-ガチャ
『シルバー...』
シルバーはクロエの近くの椅子に座る。
「ありがとうな コウだけじゃない、アリスも救ってくれた。俺たちが見て見ぬふりをしてきたものに手をさしのべてくれた。皆すげぇ感謝してる。」
クロエは首を振った。
『皆私のことを守ってくれてる。こんな大荷物を匿ってくれてありがとう。』
「いっただろ、守るって。」
クロエの頭をくしゃくしゃと撫で回したシルバーはそのまま部屋を出て行った。