太陽と月の後継者

何度目かのこのような悪夢。これはここ数日間ずっと続いていた。

『何度見ても、あれは私だ。』

ふと気付いて部屋を見渡すと、牢獄でも自分の部屋でもなかった。

隣では、ゲーテが隈を作って寝ている。最近睡眠をとれていない彼を申し訳なさそうに撫でた。

真っ白な空間、ここはきっと療務室だとクロエは記憶を辿る。

-ガチャ

『シルバー...』

シルバーはクロエの近くの椅子に座る。

「ありがとうな コウだけじゃない、アリスも救ってくれた。俺たちが見て見ぬふりをしてきたものに手をさしのべてくれた。皆すげぇ感謝してる。」

クロエは首を振った。

『皆私のことを守ってくれてる。こんな大荷物を匿ってくれてありがとう。』

「いっただろ、守るって。」

クロエの頭をくしゃくしゃと撫で回したシルバーはそのまま部屋を出て行った。


< 171 / 220 >

この作品をシェア

pagetop