太陽と月の後継者
ループしてきた先は0のアジトより強力な結界が張られた上級魔法使い本部。
大きい広間を見渡せる中心の塔の中。
テラスに出ると大勢の人が集まっていた。
六大貴族率いる風の部族、水の部族、地の部族、滅多にお目にかかれない闇の部族、光の部族。
各部族の精鋭部隊が集まっていた。
よく見れば、キルや学園の人が集まってきている。
『これは...』
「皆、クロエを救いたいって。」
久しくビアンカの声が聞こえる。
幻聴かと振り返るとそこには大好きなリオ達や0のメンバー。
『みんなっ...!』
「なにしけた面してんだよ。」
ヨウテスが笑った。
すると一人の老人が前へ出てきた。
杖売りのアランだ。
「我はクロエ様の故郷の生まれ...エミリアの姫君を語ってきました。
生きている中で会えるとは思わなかったが...。
我々の国の民もここに来ている。
どうか
生き延びるのじゃぞ...!」
アランは前に会ったときより酷く衰弱していた。
故郷の香りに妙に懐かしさを覚えたクロエは前を向いた。
『今日で最後の夜になるかもしれない...けど、私は諦めない。まだ未熟でどうしようもない私だけど、ついてきてくれますか?』
その場にいた全員が大きく息を吐いた。
何を今更
と言っているようだ。
「「「「「「おぉぉおおおおおおお!!!」」」」」」
その声が聞こえていたのか、
外にも雄叫びが上がる。
『ありがとうっ!』
ヒルダは一歩前に出るとクロエに言った。
「クロエ、五大魔法使いへの昇進おめでとう....歓迎するぞ。」
その言葉にはシルバー達も目を丸くした。
『私が...0の?』
「あぁ、こいつも今日から五大魔法使いの仲間入りだぞ。」
エルメスは苦笑いをして華麗にお辞儀をする。
「よろしくお願いします。」
『エルメス先輩…!こちらこそ、よろしくお願いします!』
クロエは深呼吸を繰り返すと笑う。
そして、最後の夜が訪れようとしていた。