太陽と月の後継者
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『レトっ』

真っ赤に染まる薔薇園。

噴水がしぶきを上げ、それに太陽が反射して綺麗な虹が架かる。

正方形の石基が規律正しく並び鳥のさえずりが聞こえた。

「クロエ、どうかしたの?」

白銀の髪が風を受けてさらりと揺れる。

白金の彼女はそんな彼を愛しそうに見つめた。

『いいえ...会いたくなっただけ。』

そんな可愛い彼女を彼も愛しそうに見つめる。

穏やかな風がふたりを包み込んだ。

精霊達も楽しそうに薔薇の周りを飛んでいる。








『レトの子が出来たの。』

彼は大きく目を開けた。

「クロエと、僕の...?」

『それ以外誰にいるのよ。』

嬉しそうに笑う彼女を堪らずレトは抱き上げた。

「クロエ、キスして。」

切れ長の美しい瞳に心臓が大きく音を立てる。

その瞳に捕らわれて目が離せなくなる。

『い、嫌よ』

そんな彼女にレトは意地悪く笑って見せた。

「俺にキスしろ。」

僕と俺を巧みに使い分ける彼。

まるで別人だがそれにクロエは逆らえない。

彼は悪魔だとクロエは心の中で呟く。

それでも愛しい、憎いくらいに愛らしい。

自分の唇を彼の整った唇に重ねた。




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