太陽と月の後継者
気付けば勝手に体が動いていていつの間にか魔獣の手を丸ごと切り落としていた。
大きく不快な叫び声に近くの者は耳をふさぐ。
落下していく子供を胸に抱くと地面に降りた。
杖が気付かぬうちに剣に変わっているのにも目もくれず母親の元へ駆け寄り子供を渡した。
「フィルっ....あぁフィル。
ありがとうございます。
ありがとうございます。」
フィルという子を抱えながら頭を何度も下げる彼女に促した。
『早く避難を...アース王の元に行けばきっと寛大な処置をなさってくれます。』
そう言って立ち去ろうとする彼女のドレスを掴んで引き留める。
「おねぇちゃんありがとう。」
無垢な笑顔がクロエの心を悲しくさせる。
頷いて足早にその場を去ると目の前に信じがたい光景が浮かんでいた。