太陽と月の後継者

さっきとは比べものにならないくらい無数の魔獣が人々を蹴散らしていた。

悲鳴が絶えず聞こえてやむことはない。

「クロエっ」

ビアンカの声がして振り返るとリオとビアンカがいた。

「あいつら...自分たちに危機が迫ったからかしらないけど。汚い。」

そう言ったリオを窘めるように彼女は言う。

『戦いに、綺麗も、汚いもないよ。』

走りながらそう言うと朱雀の屋敷が目の前にあった。

よくみると、一番高い屋根の部分に十文字...✕印の貼り付け板のような物が見える。

『あれは...!』

夢の中で見た光景だった。

まだ昼にもなってない空がやけに晴れ晴れしく、嫌な汗が伝う。

「クロエ危ないっ!!!」

悲鳴なような声を上げて叫ぶ彼女、ビアンカ。

後ろを見ると剣を持った神官。

クロエを庇うようにビアンカが立つと、神官は軽々と彼女を持ち上げ首に剣を当てた。

それに反応して怒り狂ったリオが飛びかかる。

皆このときには全員解放をしていてピリピリと空気が震えていた。

『リオだめっ!!!』

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