太陽と月の後継者
ーピーピーッ
ふと懐かしい鳴き声が聞こえて声の主を見た。
クロエは目を見張る。
「エル........キルア!!!」
朱雀族の屋敷の前に吊されていたものはあの島々の幻獣達で体はぼろぼろだ。
それをみて怒り狂ったふたりは我を失い仲間を救い出そうとしていた。
どうみても仲間は囮で、周りには神獣を捕らえようと盗賊や海賊が魔法を仕掛けている。
『だめ....!!!』
飛んで助けようと思うものの、
行く前に二人は地面にぐったりと倒れた。
後衛に五大魔法使い率いる上級魔法使いが居るのだが進みが遅く間に合いそうにない。
周りを再び見直すと皆片足をついて誰かに剣を首に当てられていた。
神官はそれをクロエに見せびらかすようにしたり顔をしている。
クロエは限界だった。
『やめて、......もうやめて!!!!!』
クロエは剣を天にかざした。
天へと稲妻と水の柱が上る。
それは地を轟かせ、火を消火するように雨を降らした。
空は何故か晴れているが、雨の冷たさは確かだった。
その声で気付いたように二匹の神獣は起き上がる。
『なんで、解放が出来ないのかな.....。』
クロエは二段階目の完全解放をしたかった。
だがそれは成されない。
己の無力さを身に感じるクロエは、今を戦い続ける仲間を見た。