太陽と月の後継者
「さぁ、クロエ手を出しなさい。」
レオンの手が無理矢理クロエの腕を掴むと血を取った。
『...それで何を。』
そしてレオンはそれをゴクリと飲み干す。
「これが天羽の血か...クックックッ」
神官達は少しざわつくとその中のリーダーらしき者がレオンに言った。
「約束と違うぞ。早く彼女を封印しろっ!!!」
神官は何のために今までやってきたのだと眉間に皺を寄せた。
クロエは自分の血を朱雀族が飲めばどうなるか分かっている。
目の前で繰り広げられる仲間割れと取れる口論をずっと聞いていた。
彼女自身もう一度封印された方がましだと思っている。
完全に頭に血が上った神官達はレオンに掴みかかろうとした。
『だめ、逃げて!!!!!』
その叫びに気付いた神官も遅く、レオンの攻撃をまともに食らった。
顔は火だるまのように焼けて、外にかけだしていく。
何時もの倍力があふれ出るレオンに周りの者は恐怖して外へ走り出した。
ーウァアアアアアア
ーグァアアアアアッ
それを待ち構えるように外で待機していた朱雀族は彼らを次々といたぶった。
『仲間じゃないの...。』
少し震える声でレオンのごつい筋肉質の胸板を叩く。
ビクともしないそれに苛立ちを覚えたクロエは、未だに捕まれている腕が変色しているのに気付いた。
『離してっ』
華奢な彼女の腕では対抗できず、取り上げられた杖を奪い返すことも出来ない。
なくても魔法は使えるが力は弱い。
クロエは弱い力で必死に抵抗することしか出来なかった。