太陽と月の後継者
『お…か……さ、お母様っ!!!』
むせ返るような血の匂い、目の前で泣き叫ぶ女の子。
貴女は誰?
《お前は知っている》
そうだ、あれは私。
真っ赤な血の海に見える一筋の影。
目の下に十字架が彫られていて、ワインレッドの髪を束ねた奇妙な男。
この光景を、この人物を、私は知っている。
《そう、知っている。》
忘れられる訳がない…。
『貴方が、お母様を……?』
「そうさ、可哀想な姫。
貴方様は天から落とされた神ノ子。
その美貌も力も、すべてを世界のものが欲している。世界の規律を乱すものは、我らが抹消しなければならない。
だが、貴方様は不死身。だから、貴方様には永久に眠って頂く」
『私は…
もう普通には暮らせないの…?』
こいつがすべてを奪った。
幸せな日々も、
大好きな家族も、
私の人生も。
私が神の子だから。
《お前は何者だ?》
わからないの…
「貴方様に一つだけ教えて
差し上げます。
貴方様はーーーーーーーなのです。」
教えて、何を言ったの?
私は何なの?