太陽と月の後継者
「すっげーな…この大会で優勝すれば上級魔法使いになれる。五大魔法使いに1歩でも近づけるんだぜ。入学式の前からずっと訓練してきたんだ……。」
ヨウテスは興奮気味に言うと自身の手を握りしめた。
『魔法大会って今初めて聞いた…みんな知っていたの?』
「「「「え?」」」」
四人は驚いて言葉も出ないと言った表情だ。
「この学園の奴らはだいたいそれが目当てだったりするんだよ。優勝できなくても大会にはお偉い人達がいらっしゃるから少しでも注目を集めて将来雇ってもらおうとしている奴も少なくない。」
『そうなんだ……ヨウは五大魔法使いになりたいの?』
「あぁ、俺は五大魔法使いになって、父さんたちを見返してやるんだ。」
一瞬影がさしたヨウテスの瞳を見たクロエは、これ以上聞くのはやめておこうと前に向き直った。
「魔法大会は2週間後の月曜日に行われる。
残りわずかだが、正々堂々と戦ってきてくれ。本番まで特別に訓練室をいつでも使えるようにしてある。
明日からは自習期間となるから、好きに使うといい。では当日にまた会おう。」
そう言うとヒルダはループ(移動魔法)を使い、一瞬でその場から消えた。