太陽と月の後継者
控え室を出ると通路がある。

そこにビアンカは体育座りをして泣いていた。

「な、何よ。
笑いに来たんでしょ…

ほっといてよ!」

『馬鹿になんかしないよ。
あなたはすごい人なんだと思ってる。』

「同情なんかいらないわっ」

クロエはビアンカの前にかがみ込んだ。

『私、ビアンカちゃんみたいに素直にモノを言える人、凄いと思うよ。

簡単に出来ることじゃないもん。』

「…」

『それに、私は何でも持っている人なんかじゃないよ…』

ビアンカは暗くなった声に顔を上げる。

そこには、悲しそうな顔をして笑うクロエがいた。

『むしろね。

“空っぽ”なんだ。』

ビアンカは目を大きく開く。

クロエは1000年という長い長い年月を生きているが彼女は意識がある中でまだ16年しか生きていないのだ。

『あのね、良ければ。





友達に、なって欲しいな…』

クロエが自分から友達を選ぶのは初めてのことだった。

「…ビアンカ」

『…?』

「ビ・ア・ン・カ・よっ 私の名前。
…わ、私の友達になってくれるんでしょ」

『っ…うん!!』

ビアンカは顔を赤くしてそっぽを向きながら言った。クロエは嬉しそうに微笑む。

『よろしくね“ビアンカ”』

クロエは、気の強い素直なビアンカにとって初めての友だちになったのだ。

「…よろしく」

また、ビアンカはクロエの笑顔に酷く救われたのだった。

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