太陽と月の後継者

「ミシェラード学園魔法大会。
決勝戦の時がいよいよ
やってきました!

闘技場の中央には、
数々の争いを乗り越えてきた2名がいます。

Michiru!!
そしてクレア・フルームっ!!

どんな戦いを見せて
くれるのでしょう?

それでは、





試合開始っ!!!!!!」

ーワァアアア!!!

会場は、大会始まって以来一番の大盛り上がり。

「クレアいけー!!」

観客席では、ビアンカ達がもう既に身を乗り出して見ている。



「クレア・フルーム…。」

Michiruが、口を開いた。

『?』

「悲劇の姫…か。」

ボソリと呟く言葉はクロエには届かず、首を傾げた。

「ー水鏡眼ー」

水鏡眼は、相手の次の手。
言わば未来が見える。

クロエが右へ動くと、そこに強烈な蹴りが入った。

『カハッ!!ゲホッゲホッ…。』

(この脚力と少し筋肉質な感触は…男だ。)

『接近戦はだめね……下手に動かない方がいい。』

クロエは、一時停止して、杖を上に掲げた。

『ー雷柱ー』

雷は光属性の魔法だ。

雷が、Michiruを追撃していく。

だが、水鏡眼でいとも簡単に避けられてしまう。

「ー水陶ー」

Michiruがそう呟くと、クロエは酸素のない水の中に閉じ込められてしまった。

この技は、今までのMichiruと戦っていた選手が絶対に破れなかった技だ。

クロエはとうとう水を飲み込んでしまう。

『ウグッ…。』

ーボコボコ

とクロエがもがく音が会場に響いた。

「クレアっ!!」

ビアンカは悲鳴が混じった声を上げる。

聞こえるはずのない声は、クロエに届いていた。

(ビアンカ…私…。)

今にも意識を失いそうなクロエは、あるものが目に入った。

真っ赤に輝く力を抑制する石。

(この宝石を外せば…)

と必死にネックレスを掴み胸元から引きちぎる。

観客席のイズミは、この事がわかっていたかのように目を固く閉じた。

突如、気がどうかなりそうなほどの眩い閃光と、炎が闘技場内を包み込む。

『ー解放ー』

会場の者が
目を開けれるようになると、
辺りがシンと静まり返った。

クロエの解放は二段階ある。
まだこの先がある。

その一つ目の解放が終わる時
世界は光に包まれた。

天女…否。

女神に等しいその美しい容姿に誰もが言葉を失っていた。

白金の髪はキラキラと光を受け、月桂樹の冠が頭に乗せられている。

憂いを帯びた碧の瞳は相変わらず隠れていて、切れ切れだった服は、触れてしまえば消えてしまいそうなほど美しく儚げな純白のドレスへ。

腕や足には太陽に似た花がつる状に巻きついていた。

裸足の足首には、何故か似合わぬ鎖がついている。

炎と光、闇、水、風、地。
時以外すべての属性の色がクロエの周りをくるくると周り、多大なるオーラが放出されている。

Michiruはこの事を予期して居なかったのか、クロエを見て固まっていた。

『ー水龍一』

クロエは、
六つの属性を制したのだ。

「フッ…」

Michiruは、水龍を見て自嘲する。

次の瞬間には水龍に飲み込まれ
地面に肩膝をついていた。

マントはボロボロになり、フードは使い物にならない。

Michiruが顔を上げると、クロエは息を飲んだ。

金で少しくせのある濡れた毛をかき揚げると同時に、耳元の真っ赤な水晶のついたイヤリングが揺れる。

瞳は両目とも銀色で学生とは思えぬほどの色気だ。

Michiruは立ち上がると、クロエの前に跪き手を取り口付けた。

クロエは、予期していないことで固まってしまう。

そして、クロエだけに聞こえるようMichiruは声をかけた。

「私の名はエルメス。貴女に会えるのをずっと待っていました。」

ーキャアアア!!!

女生徒はMichiruの容姿と、行為に大興奮。

男共は恐怖に似た悲鳴を上げる者もいた。

まるで絵画のような女神と従者のような図。

司会者は、しゃべり始めていいのか焦っていた。

「貴女は“大災厄”を起こす鍵をお持ちです。

注意してください。」

(大災厄って…なに?)

それだけ言うと、クロエの眼帯にまたもや口付けをした。

「私の負けです。」

その言葉と同時に、力が抜けたのか、クロエの解放が終わる。

「はーーーーい!!!!
只今、
ミシェラード学園魔法大会優勝者
が決定いたしました。

1年Sクラスの…












クレア・フルームっ!!!

おめでとうございますっ。

今日より貴女は上級魔法使いです!


五大魔法使いであるイズミ学園長に後で上級魔法使いの紋章をさずけて貰います。」

上級魔法使いの紋章。

正確に5つの印がある。

一つ目が一番人数の多い《翼》
表向きに一番有名で
平和を守る警備隊。
約40%

二つ目が《獣の爪跡》
戦闘好きが多く、普段は密猟者などを排除したり危機の時には真っ先に戦火に飛び込む特攻隊。約30%

三つ目が《羅針盤》
特攻隊のサポート役
頭脳派が集う破頭隊。
約20%

四つ目が《大釜》
奴隷など裏社会の
管理に務めている死神隊。
約9.9%

五つ目が《薔薇》
存在自体知られていない。
国王や六大貴族の護衛で死神隊でも対処できない任務を遂行する極秘部隊=通称 0(ゼロ)

約0.1%

「クレア・フレーム。そなたを上級魔法使いとしてここに認める。」

イズミがそう言い放つと、
会場からは祝福の言葉が上がった。

「…どの部隊に入るかはまだわからぬ。明日、理事長室に来るように。」

『はい』

クロエは、Michiruへの疑問で頭がいっぱいの中、笑顔を浮かべた。


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