太陽と月の後継者
2節 神話
あれから3週間後、クロエ達は約束していたサマリダ教会へと来ていた。
予定とは異なって今日はビアンカとキルも一緒だ。
ビアンカとリオはキルに細心の注意を払っている。
「でっけー!」
レイの声が教会に響く。今日は休日ということもあり、沢山の人々が教会へ訪れていた。
「ちょ、変な目で見られるだろ?」
ヨウテスがすかさず突っ込みを入れるがレイの興奮は治らない。
『一緒に来てくれてありがとう。』
「クレア一人で行かせるなんて出来ないわ。というより…さ、誘ってくれて…嬉しい。」
ビアンカは照れ臭そうにして言う。
「クスッ まっ、元はと言えば俺が言い出したしね。」
リオは可愛らしい笑みを浮かべると、大理石でできた長い階段に足を踏み出した。
「こっちだよ!」
彼は、クロエに似ていると言う肖像画のところへ案内する。
教会で一番目立つ途中の踊り場のようなところへ行くと、目の前には大きな肖像画。
「本当にクレアにそっくりだ。」
「前世かなんかじゃないの?」
みんな口々の感想を言っているが、周りの参拝客や観光客もクレアをチラチラと見ている。
肖像画には、白金の綺麗な髪と紅と碧の瞳を持った女性が描かれていた。
『…』
“瓜二つ”
クレアはその絵に引き込まれるように見ている。
「でも、クレアの瞳は紅だけだからちょっと違うな。」
ヨウテスの鋭い突っ込みにクロエはゴクリと唾を飲んだ。
“違う”
実際隠しているがクロエは紅と碧の瞳を持っていた。
「でも、クレアの目は片方しか見たことないな。」
レイの瞳が一瞬怪しく光る。クレアの焦りを見抜いてか、ビアンカは話を逸らした。
「彼女の名前は…“クロエ”
何処かで聞いたことがあるわ。
あぁ…そう、神話よ。」
ードクン
クロエは…自分の本名だ。
クロエは、その神話について聞く。
『神話って…?』
「長くなるし、外で説明するよ。」
この中で一番説明上手なリオが言う。
クロエ達は教会内で庭のような所にある、円形のテーブルの周りに座る。
屋根も付いており、良い休憩場所だ。
「で、神話の事なんだけど…」
リオの話は以下の通りであった。