太陽と月の後継者

話が終わると、ダバダバと涙を流すキル。

ルカは相変わらず無表情。

クロエはこの話を知っているような気がした。

「何回聞いても泣けるな。」

キルはずずっと鼻をすする。

「この話、知らない奴は居ないんだ。」

ヨウテスは、

「作り話だろうけど」

と付け足す。

『実話だよ。』

知らない間に口にしていた言葉にはっとするクロエ。

これは絶対自分に関係がある話だ。

『だって、現にクロエは国家家系図に太古の姫として名があるんだから。』

必死にかつ冷静に弁明する。

「それもそうね。」

ビアンカは傾きかけの太陽を見て溜息を吐く。

クロエも、太陽を仰ぎ見た。

“太陽と愛の神”

(まさかね)

クロエは太陽を見て笑った。


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