太陽と月の後継者


『アリス』

大量の汗と、
一筋の涙。

クロエは目を覚ました。

(今のは…アリスの記憶?)

「見たのね。」

近くの椅子に座るアリスは、
じっとこちらを見ている。

ここはアリスの部屋だ。

「なんで、アリス、仲間が欲しいのに。

クレアに手を出せない。」

アリスの片手にはナイフが
鋭く光っている。

『アリス、貴女に心がないなんて嘘でしょ?
だって、こんなにも悲しそうなのに。』

アリスの頬に手を添えて、抱きしめる。

『私にとって、アリスはもう大切な仲間だよ。』

アリスの手から
カタッとナイフが落ちる。

「仲…間?」

『そっ、仲間。』

「アリス、クレアと友だち?」

『うん。友だち。』

アリスは、小さい子の様に泣き出した。

ずっと寂しかったのだろう。

アリスは、クロエの手を握っていつもの部屋へ向かう。

「ごめんなさい。

アリス、酷いこと。」

『いいよ!』

部屋の扉を開けると、
驚いた顔で振り向いた全員。

「アリスが懐いてる…」

「嘘だろ」

クロエは、歯痒くなって口を開いた。

『えと、おはよ?』

「クレア…ありがとう。
アリスを救ってくれて。」

クランはクロエの手を握りブンブンと振りまくる。

『痛いです…』


落ち着きを取り戻すと、
クランは要件を言い出した。

「クレア、コウ、アリス。

新しい任務だ。

3人には、
朱雀族について調査してもらう。
アキのことといい、
最近良からぬ噂がたっているんだ。
事件を未然に防ぐのも俺達の仕事。

やってくれるかい?」

「「『はい。』」」

そのことについて、クロエには1つ問題がある。

『私の学友に朱雀族の子がいます。
顔が知れているけど、大丈夫ですか?』
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